シャーペンのレンダリング まとめ
シャーペンのレンダリングを行った.元ネタは「ステッドラー 製図用シャープペンシル」.環境テクスチャを使用.図1に最終のレンダリング結果を示す.
Fig.1
図2は一番初めにレンダリングした結果である.
Fig.2
今回はシャープペンシルをBlenderでモデリングしたが,率直な感想を言うと「Rhinoceros優秀」である.いや,これは言葉足らずで,「こういう機械系はRhinocerosといったCADが優秀」である.まあ当然といえば当然なのだが,今回のシャーペンのモデリングでそれを嫌というほど痛感させられた(まあシャーペンごときのモデリングは30分ぐらいで終わったが).
このような機械系のモデリングをBlenderが苦手としている理由はいくつかあるが,その最大の原因は「メッシュでオブジェクトを管理している」ことだろう.例えばRhinocerosの場合,球体は球体でしっかりと定義され,曲線も式で定義されている.しかしBlenderの場合,初期オブジェクトで球体は選ぶことはできるものの,実態はあくまで「メッシュを集めて球体っぽくしたもの」である.なので,機械系でしょっちゅう使用するBooleanが頗る苦手なのである.さらに致命的なのは,Booleanで発生したエッジをBevelしようとするとこれがとんでもないことになるのである(まあ実際に球体同士でBooleanをやって,発生したエッジにBevelをかけようとしてほしい.とんでもないことになる).
まあだらだらとBlenderの苦手な部分を書いてきたが,当然これはBlenderだけではない.Mayaやメタセコイアといったすべてのモデリングソフトが苦手なのである.まあ結論は出ている.「用途に合わせてCADとモデリングソフトを使い分けよう」.
当然良い部分もある.それがCyclesである.このレンダリングエンジンは本当に素晴らしく,私のような初心者でもそれっぽく表現できてしまうのだ(だからこそ深くまで理解しようとせず,その高機能っぷりに甘えてしまうという部分もあるのだが).短時間で写実的な情景をCGで作りたいならぜひCyclesをおすすめする.フリー(しかもオープンソース)でこの機能は驚異的である.
以下,各マテリアルの要項.ShaderはすべてPrincipled BSDFを使用.
・金属(ペン先等)
Metallic:1.0,Specular:0.5,Roughness:0.0
今回の一番の教訓は,「鏡面反射するマテリアルを使用するなら環境テクスチャを使え」である.鏡面反射というのは周りから映り込むものがあって初めて画として映える.まわりになにもないのにただただ鏡面反射をつけただけではCG感がとても出てしまう(図2参照).今回は思い切ってRoughnessを0.0にしてみたが,正解だった.
・ゴム(グリップ)
Metallic:0.0,Specular:0.4,Roughness:1.0
今回のレンダリングで2番目に苦労したマテリアル.Metallicを0.0,Roughnessを1.0にすればよいというのはすぐに分かったが,苦労したのはSpecularである.最初は,「ゴム製だから鏡面反射はしないだろう」などと思っていたが,それが大間違い.Specularを0.0にしてレンダリングすると,ありえないほどCG感が出た.原因は,色の濃淡の違いが出なかったからである.もう一度シャーペンをよく観察すると,ゴムだって鏡面とはいかないまでも反射はしている.なのでSpecularはつけるべきなのである.
・プラスチック(ボディ・キャップ)
Metallic:0.0,Specular:0.05,Roughness:0.4
今回のレンダリングで1番苦労したのがプラスチックのマテリアルである.これもゴムと同様,Specularに悩まされた.プラスチック部分は少なくともゴムよりは反射するだろうと思っていたが,レンダリングを行い,「コレだ!」というSpecularの値を見つけ数値を見てみるとまさかの0.05.やはりSpecularはよくわからない(苦手).しかし,これ以上Specularを上げると,ベースカラーを真っ黒にしているのに白っぽさが出てしまう.ということで,納得はいかないものの,このままでいくことに.Specularへの苦手意識を克服したい今日この頃である.
・木製(床)
Metallic:0.0,Specular:0.5,Roughness:1.0
フリー素材.以上.まあ今回はシャープペンシルのマテリアルのチューニングが課題だったのでぶっちゃけほとんど手を付けていない.正直シャーペンの存在感がでかすぎて気にならない(なんとNormal MapもRoughness Mapも使っていないやっつけ仕事である).
なんやかんやで,初めてFocusを使った.空オブジェクトを作成し,そこにFocusを合わせるようにした.新しい技術を使いたかった(というのは建前で,本音はプラスチックの納得のいかないマテリアルをごまかしたかった).
次は透明なオブジェクトでも作ろうかなぁ